手の分度器
天体観望会などでは、空にあるものはものさしでは測れない、ということで、手を使った角度の測り方をお話しています
手て角度を測る
上の絵のように、実際に手のひらの分度器を使って角度を測ってみましょう。測り方はとても簡単。
手の分度器
- まっすぐ背筋を伸ばして立ち、片方の腕をまっすぐに水平に伸ばします。
- 手を握り、角度を測りたい方向に腕を向けます。
- このとき、握りこぶしひとつ分の角度が約10度になります。
- さらに広い範囲として、親指を立てると15度、小指も立てると20度になります。
- 逆に、指1本では、約2度になります。
手の分度器10度 |
手の分度器10度 |
手の分度器15度 |
上のふざけた写真のように、角度を測りたい場所(2つの星の間隔など)へ拳を持っていき、拳何個分あるかを数えます。親小指を立てたのが1つと拳が1つなら、約30度、ということになります。
さて、その精度は?
手の分度器は、身長、腕の長さ、手のひらの大きさが、老若男女を問わずほぼ一定の比になることから、思いついたのでしょう。これを最初に考案したのは誰なのか、不勉強で私は知りませんが、すばらしいアイディアだと思います。海外の星座解説本などを見ても載っていますから、どうやらどこからか(S&Tあたりでしょうか)輸入されたものでしょうか。
しかし、果たしてどれくらいの精度で角度を測ることができているのでしょうか。ここで検証してみたいと思います。
私の親指と小指を立てた状態の幅は、21cmです。また、水平に腕を伸ばして、角度を測る体勢になったときの拳から目までの距離は、74cmでした。よって、直角三角形にするために手の幅を半分にして、角度を計算すると、atan(10.5/74)=8.06度、実際には倍ということで、16度くらい、ということになります。
手のかたち | 手の大きさ | 角度 |
---|---|---|
こぶし | 11.0cm | 8.50度 |
親指立て | 15.0cm | 11.89度 |
親子指立て | 21.0cm | 16.12度 |
指1本 | 1.6cm | 1.24度 |
私の拳の大きさは11cm、親指を立てると15cmでしたので、実際には9度足らず、12度足らず、といったところでしょうか。実は私、腕の長さが人よりもちょっと長いのです(^^; 服を作るときによく言われます。そのせいもありますね。
実際には、腕をあちこちにむけて、いろいろな方向で測るわけですから、こぶしと目の距離はかなり変化します。私の場合、天頂を測るように垂直に腕を伸ばすと、こぶしと目との距離は約50cmでした。
手のかたち | 手の大きさ | 角度 |
---|---|---|
こぶし | 11.0cm | 12.55度 |
親指立て | 15.0cm | 17.06度 |
親子指立て | 21.0cm | 23.72度 |
指1本 | 1.6cm | 1.83度 |
今度はだいぶ大きくなりました。腕は肩についていますから、方向によって目と拳の距離は変わるようです。こうしてみると、低高度、高高度ではかなりの誤差はあるものの、中高度付近では、ちょうど中間にあたり、かなり正確に測れるように思います。
皆さんも、星座を探したり、方角を調べたりするときに、自分の手の分度器、ぜひ活用してください。