ヴェガ
お盆のころ、頭の真上に涼しげに輝くヴェガ。おりひめ星です。星座では、こと座の琴の、持ち手にある宝石。ダイアモンドでしょうか。
恒星データ
Hipparcos 番号 | バイ エル 符号 | 赤径 | 赤緯 | 固有名 カタログ名 | 意味 | アルマゲスト名 | 実視 等級 | 絶対 等級 | スペク トル | 距離 (光年) |
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91262 | α LYR | 18h36.9m | 38゚47.0' | ヴェガ | 落ちるわし | 耳にあるリラと呼ばれる星 | 0.03 | 0.58 | A0Vvar | 25.3 |
データ出典:
バイエル符号・等級・スペクトル・距離:Hipparcos星表 絶対等級:独自計算 固有名・意味:星座の神話、IAU アルマゲスト名:アルマゲスト
ヴェガは、日本で簡単に見ることができる星の中では3番目に明るい星です。夏の夕方に空を見上げ、天頂付近に白く輝く明るい星を見つけたら、まずこの星に間違いありません。
星の赤緯を調べると、その星が南中したとき、どれくらいの高度になるかを知ることができます。地球の赤道を空に伸ばして描かれるのが「天の赤道」 地球の極を空に伸ばした点が「天の極」ですから、ある地点の緯度と同じ赤緯の値を持つ星は、その地点で天頂を通過します。ヴェガは、赤緯38度47分ですので、北緯38度47分の地点で、天頂を通過、ちょうど、仙台のあたり。仙台の七夕祭りは、おりひめ星が頭の真上に見えるのです。
もちろん、仙台だけではなく、日本中どこでも、ヴェガは「ほぼ」頭の上に輝く星というわけです。
ヴェガのそばにある2つの4等星をつなぐと、本当に小さな三角形ができます。それを、ワシが地上に降りてくる様子に見立てて、アラビア語で「落ちるワシ」という意味のヴェガ、と名付けられたそう。天の川を隔てて、同じように3等星と4等星が隣に輝くひこぼし、わし座のアルタイルは、アラビア語で「飛ぶワシ」という意味。日本では夫婦、西洋ではワシ、ペアとして見られていて、その対比が面白いですね。
ヴェガ 概要
ヴェガと太陽
ヴェガの直径は太陽の約2.7倍。ただし、それは地球から見たときです。ヴェガは大きな星ですが、12時間半弱で自転しています。これは、自転によってヴェガが分裂する理論速度の92%にあたるそう 1 。なので、ヴェガは赤道方向に極端に膨れた形をしているようです。極方向では、太陽の約2.3倍ほどしかありません。
太陽系はヴェガの自転軸の延長上にあり、ヴェガが一番大きく見える位置にあります。そして、極方向はつぶれているので中心核に近いということ。極の温度は赤道よりも約2000度も高く、約1万度もあり、普通のスペクトル型A0の星よりも明るく見えているというわけです。
- ↩The Brightest Stars P144