カペラ

カペラ

冬の空、頭の上に高く輝く、ぎょしゃ座の1等星。天頂高く通る0等級トリオのひとつ。

トリオメンバーのアルクトゥールスともヴェガとも違う、明るい黄色の輝きです。

恒星データ

Hipparcos
番号
バイ
エル
符号
赤径赤緯固有名
カタログ名
意味アルマゲスト名実視
等級
絶対
等級
スペク
トル
距離
(光年)
24608α
AUR
5h16.7m 45゚59.9'カペラ雌子山羊左肩で(カペラ)とよばれる星0.08-0.48M1:comp42.2

データ出典:
バイエル符号・等級・スペクトル・距離:Hipparcos星表 絶対等級:独自計算 固有名・意味:星座の神話、IAU アルマゲスト名:アルマゲスト

1等星の中では、一番緯度が高く、また、夜が長い季節の空にありますから、1日の間でも、1年の間でも、ずいぶんと長い期間見ることができます。

クリスマスのころには、日没後30分ほどの17時ころから、日の出前30分の6時ごろまで、空をわたっていくさまが見られますし、関東で20時に見える期間を調べると、9月下旬に北北東の地平線に見え始め、6月下旬に北北西に沈むまで、9ヶ月間も空にあります。北緯45度以北では周極星となり、夜になれば、空のどこかで輝いているはずです。

ちなみに、0等級トリオの関東で20時に見える期間、ヴェガは4月下旬から12月下旬までの8ヶ月間、アルクトゥールスは3月下旬から9月下旬までの6ヶ月間です。これはそのまま、星たちの緯度になるわけで、カペラ、ヴェガ、アルクトゥールスの赤緯は、順に46度、38度、19度、カペラは1等星で一番北極に近い星です。

カペラ概要

カペラと太陽

カペラと太陽

HipparcosカタログでのカペラのスペクトルはM1になっていますが、一般的なカタログではG5、太陽とほぼ同じ、太陽を遠くから見たらこんな感じでしょうか。けれども、似ているのは色だけで、直径が太陽の10倍ほど、質量が2.5倍の2つの星が、104日で互いを回る連星系です。ふたつの星の光をあわせた明るさは0.08等級、絶対等級は-0.48、それぞれの星のスペクトル型はG8とG0、明るさは0.71等と0.96等、絶対等級は0.15等と0.40等。太陽とは似ても似つかぬ大きな星たちです。

カペラという名前は、「雌の子ヤギ」という意味。星座絵でも、御者のおじさんが抱いているヤギが描かれます。この姿は、今から5000年ほど前の古代メソポタミアのころから描かれていたそうで、むしろこれを御者と見た古代ギリシャの方がずっと新しく今から2000年ほど前。また、ヤギつながりで、やぎ座の神話のひとつ、ゼウスを育てたアマルテアの姿とも言われています。

カペラと暦

ちょうど、古代エジプト人がシリウスと太陽が同時に昇るのを見て暦を決めていたのと同じように、メソポタミアでは、カペラを使って新年を定めていたそうです。メソポタミアの暦は、春分前後の新月を新年の始まりとする、というものですが、今から5000年前、カペラは歳差運動によって春分点とほぼ同じ、赤径0時付近にありました。

実際に春分点があったのはおうし座ですが、春分に太陽が通過しますから空で観測するのは無理。カペラは同じ経度でさらに北にありますから、日の出前、日没後すぐに観測することができたはずです。カペラの観測はとても大切だったことでしょう。

暦と天文学が結びついている、というお話のひとつです。