名称星座名ぼうえんきょう
略号Tel
学名Telescopium
所有格Telescopii
英語名the Telescope
設定者ラカイユ
概略位置赤径19h0m
赤緯-52°
面積252
季節南天
南中9月上旬
星数1等0
2等0
3等1
4等1
5等13
6等40
変光星368
データ出典:
 星座名・概略位置・星数:天文年鑑2020
 名称(星座名を除く):IAU Webサイト

ぼうえんきょう座

当時の最先端機器の星座のひとつ。望遠鏡で見ないと分からないかも。

ぼうえんきょう座も、ラカイユ作の南天の星座です。みなみのかんむり座のさらに南にありますから、日本からでは、地平線ぎりぎりにしか見ることができません。もっとも、見えたとしても明るい星はなく、望遠鏡の形に星が追えるわけでもありません。

ギリギリ3等星のαと、あとは4等星以下の星たちをまっすぐに結んで「望遠鏡」 望遠鏡の鏡筒は白が多いですが、この望遠鏡は鏡筒が見えません。それもそのはず、ラカイユは、発明された頃の筒がとても長い望遠鏡を星座にしたようなのです。ラカイユのぼうえんきょう座は、現在のものよりもずっと長く、さそり座を通ってへびつかい座まで伸びていたそう。

望遠鏡に使われているレンズは、光を屈折させて1点に集めます。赤い光と青い光では屈折率がわずかに違うので、星のような点光源でも、レンズを通すと虹のように広がって見えてしまいます。これがまさに、空に虹がかかる原因でもあるのですが、望遠鏡で星を観測するときには邪魔なだけです。現在の望遠鏡は、屈折率の違う複数枚のレンズを複雑に組み合わせて、色ができるだけつかないように設計されています。

ヘヴェリウスの空気望遠鏡<br/><a href='https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Telescope_140_foot_Johann_Hevelius.jpg'>wikimedia commons</a>

ヘヴェリウスの空気望遠鏡
wikimedia commons

発明されたばかりの望遠鏡は1枚のレンズだけで使用していたので、星や月などの像が虹色に分かれて見えてしまい、よく見えませんでした。色がつかないようにするには、レンズをできるだけ薄く、焦点距離を長くする必要があり、望遠鏡もどんどん長くなっていきます。ヘヴェリウスが使ったという望遠鏡は全長46m(cmではないです) そんなに長い望遠鏡では、筒の重さだけで大変なことになってしまいます。この時代の巨大な望遠鏡は筒はなく、棒にレンズを取り付け、それを高い支柱に吊るしたもので、「空気望遠鏡」とよばれています。

色がつくのを嫌ったニュートンが、反射望遠鏡を「光学」で発表したのは1704年、屈折率の違うガラスを組み合わせて「色消しレンズ」が作られたのが1748年といいますから、ラカイユがこの星座を発表した1763年頃には、すでに色が着かない望遠鏡は知られていたはず。ラカイユは、過去の望遠鏡の記念として、わざわざ長い望遠鏡を星座にしたとも思えます。

そんなぼうえんきょう座も、改良が加えられたのでしょうか、現代風に短い姿となりました。

肉眼で見て、ぱっとしないぼうえんきょう座、望遠鏡を使っても、残念ながら見ごたえのある天体はありません。小さな球状星団と惑星状星雲が一つづつ、暗い銀河がいくつかある程度。実際の空で探すのは、とてもマニアックな楽しみといえるかもしれません。

恒星データ

Hipparcos
番号
バイ
エル
符号
赤径赤緯固有名
カタログ名
意味アルマゲスト名実視
等級
絶対
等級
スペク
トル
距離
(光年)
90422α
TEL
18h27.0m-45゚58.1'  (みなみのかんむりの)南縁の西星3.49-0.93B3IV249

データ出典:
バイエル符号・等級・スペクトル・距離:Hipparcos星表 絶対等級:独自計算 固有名・意味:星座の神話、IAU アルマゲスト名:アルマゲスト