パルディ天球図 より、こと座 Ignace Gaston Pardies, Wikimedia Commons

その4~方位磁石を使った方位の求め方~

「方位を求めよう」第4回は、道具を使って方位を求めるその3、方位磁石を使って方位を求めてみましょう。

図1 方位磁石(のつもり)

図1 方位磁石(のつもり)

方位磁石で方位を求めるのは、特に説明はいりませんね。方位磁石を水平に持って、針が止まったらそれが南北方向です。気をつけないといけないのは、近くに他の磁石や鉄でできたもの、火山のそばや送電線などがあると、方向が狂ってしまう恐れがあることです。山歩きしている時はもちろん、家相学で方位を知るために家の中で測るときは要注意ですね(笑)

その精度は?

図2 磁北のおおよその位置  地図:Microsoft Encarta 2004

図2 磁北のおおよその位置  地図:Microsoft Encarta 2004

この方位を求めるシリーズ、通しで読まれている方は気が付かれると思いますが~そういう方は少ないようですが(泣)~、実は、方位の求め方そのものではなく、求めた方位の精度を調べることに重点をおいて書いています。この回も、それに則って、方位磁石で求めた方位の精度を調べてみましょう。

ご存知のとおり、方位磁石が指す北と、地球の北極点は一致していません。方位磁石が指す北を「磁北」といいますが、磁北は、カナダのバサーストという島の付近にあって、北極点とは実に1600Kmも離れているそうです。

ある場所で測った、北極点と磁北の角度を「磁気偏角」といいますが、それは日本でもだいぶ違います。国土地理院地磁気データホームページには、磁気偏角一覧図があります。

図3 磁北と北極点と日本 地図:Microsoft Encarta 2004

図3 磁北と北極点と日本 地図:Microsoft Encarta 2004

それによると、日本付近では西に6度~10度ほどずれてみえるようです。

6度~10度というと、感覚的にはあまりたいしたずれには思えませんが、思い出してみてください。このシリーズの第1回、太陽を使った方位を求める方法での精度も10度くらいでした。

何の道具も使わずに、太陽の沈む位置だけで求めたものとほとんど同じ精度となると、方位磁石の精度も、実はそんなに高くはないようです。というよりも、第1回の目標精度として「方位磁石に負けない」を目指したのですが。

もちろん、調べる時刻や場所、その時の気象条件など、調べる要件は一番ゆるいですし、よけいな知識も必要とせずに、手軽に、ほぼ正確に測れるのは大きな魅力ですね。

図4 地球の磁場 図:Microsoft Encarta 2005

図4 地球の磁場 図:Microsoft Encarta 2005

国土地理院地磁気データホームページのデータで面白いと思うのは伏角図です。地球が方位磁石を引っ張っている部分は、日本から見て40度から60度近くも地下にあるんですね。

よく地磁気のモデル図などは、北極と南極を両極にした磁石の砂鉄の模様のように描かれているので、ちょっと意外です。今回調べてみて始めて知りました。説明の難しさを感じます。

まとめ

今まで3回にわたって、道具を使ったポピュラーな方位の求め方を調べてきました。他にもさまざまな方法があると思います。今後も面白い方法を調べたら、またご紹介したいと思っています。

さて、今までご紹介した方法を使うと、だいたいの方位は調べることができるようになりました。その方位感覚を使って、次回からはいよいよ星座を使って北極星を探してみたいと思います。