ペルセウス座

アンドロメダのヒーロー。ヘルクレスのひいおじいさんでもあります。

ペガスス座の四角形からアンドロメダ座へと星をつなぐと、角度にして４５度、北斗七星の倍近い大きさの巨大なひしゃくの形ができます。それをさらにそのまま伸ばしていくと、２等星がひとつ見つかります。これがペルセウス座α・ミルファク。ここに、勇者ペルセウスの姿を描いていきます。

α･ミルファクは「ひじ」と言う意味。別名を「アルゲニブ（腰）」といいます。ひじと腰では、身体の位置が全く違いますが、ペルセウスにかかわるのは、アルゲニブ、腰のほう。ひじは、「すばる」プレアデス星団を中心に星をつなぎ、大きな両手と見た、アラビアの星の並びから来ているそう。その、ひじに当たるという訳です。ペルセウス座のほかの星たちにも、それにかかわる名がつけられています。

国際天文学連合が、星の並びと関係のない名を選んだのは、ペガスス座に同じ「アルゲニブ」という星があるからでしょう。また一つ、星座と関係のない名前が付けられてしまいました。もっとも、ほかの星たちほとんどが「プレアデスの両手」にかかわる名前なので、統一した、と言えなくもないでしょうか。

αから北へ星をつないでγ、南へつないでδ、ε、ζと結び、最後にαからβへとつなぐと、カタカナの「ヒ」が描けます。プラネタリウムの投影ではヒーローの「ヒ」などと言いましたが、２等星と３等星でできる「ヒ」は、都会でも、少し空の暗いところに行くと見つけることができるでしょう。

ギリシャ神話では、アルゴスの王女ダナエとゼウスとの間に生まれた子といいます。ダナエの父アクリシオスは「自分の孫に殺される」と言う神託から、ダナエを幽閉していましたが、その美しさに恋をしたゼウスが黄金の雨に化けて近づき、ペルセウスが生まれたのです。驚いたのはアクリシオス、ダナエとペルセウスを箱に乗せて海に流してしまいました。

二人はセリフォスという島にたどり着き、そこでペルセウスは立派な青年になります。ところが、今度はセリフォス島の王ポリュデクテュスがダナエに恋をし、邪魔なペルセウスを追い払おうと考えます。ポリュデクテュスはペルセウスに「私の娘の結婚祝いに贈るものは何もあるまい」と挑発して、メドゥーサの首を取ってくるように仕向けました。

ペルセウスは女神アテナの力を借りメドゥーサを退治、その帰り道で、有名なアンドロメダ救出イベントもクリアした、というわけです。

その後、ペルセウスはアンドロメダとともにアルゴスに戻り、アルゴス王アクリシオスは逃げ出して代わりに王となりますが、近くの国で開催の競技会に出場したペルセウスの投げた円盤が、観客席にいたアクリシオスの頭に偶然当たり、神託のとおりになった、という後日談もあります。

アルゴルと二重星団

二重星団とPanSTARRS彗星
(C)Rolando Ligustri (CARA Project, CAST), APOD, NASA

ペルセウスが左手に持つ恐ろしいメドゥーサの首、ここにはβ、アルゴルがあります。アラビア語で「アル・グール」悪魔の星という意味だそうですが、この星は、周期２日２０時間４９分で、２等級から４等級まで明るさを変える変光星です。アルゴルは連星、星同士が互いを回りあっているのですが、たまたま地球から見て、軌道を横方向から見ているために相手の星を隠すことになり、明るさが変わる「食変光星」の代表、最初に発見されたものです。

明るい星なので、肉眼でもその変化を観察することができます。特に都会では、２等級の頃は見えますが、４等級になると見えなくなり、かえって分かりやすいかもしれません。

また、ペルセウスの頭の上、カシオペヤ座との境界付近は、「二重星団」とよばれる散開星団があります。「二重星」は２つの星が近づいて見えるもの、「二重星団」は、２つの散開星団が近づいて見えるもので、双眼鏡で見ると、星の集まりがふたつ並んで見え、まさに二重星団。たくさんの星が散らばった様子が観察できます。

ペルセウス座流星群

ペルセウス座というと、ペルセウス座流星群も有名でしょう。お盆の頃、８月１３日頃を中心に、１時間に３０個程度の流れ星が流れます。学校も仕事も休みで空のきれいなところに出かける方も多く、寒くない時期ですので、流れ星を見るにはうってつけです。

恒星データ