名称星座名がか
略号Pic
学名Pictor
所有格Pictoris
英語名the Painter's Easel
設定者ラカイユ
概略位置赤径5h30m
赤緯-52°
面積247
季節南天
南中2月上旬
星数1等0
2等0
3等1
4等1
5等15
6等35
変光星75
データ出典:
 星座名・概略位置・星数:天文年鑑2020
 名称(星座名を除く):IAU Webサイト

がか座

画家ではなく、画架。絵を描く時に使うイーゼルのことです。けれども、学名の「Pictor」は「画家」 混乱していますね。

がか座は南天の新星座、ラカイユの道具シリーズのひとつです。画架は、ラテン語では「Equuleus Pictoris(画家の馬?)」と書くそうで、ラカイユはきちんと「画架とパレット」という星座名を付けたのですが、途中でEquuleus(馬?)やパレットが省略されてしまい、ただの「画家=pictor」になってしまいました 1

がか座は、冬の南の地平線に少しだけ顔を出す、有名なカノープスのすぐ西側にあります。日本ではまず見つけることはできないでしょう。ラカイユの作った星座は、星がないようなところに無理やり作っていますから、たとえ空高いところに見えたとしても、画架の姿を描くのは難しい。

私が個人的に気に入らないのは、アルゴ船の下にあることです。とも座りゅうこつ座ほ座をあわせて、ギリシャ神話に出てくる勇者たちが乗った船、アルゴ船と見立て、さらにその下を海と見て、かじき座とびうお座が追いかけっこをしている、というなかなかすてきな星座配置だったのですが、ラカイユがその間に画架を描いてしまい、船乗りさんたちやバイヤーの洒落がだいなし。マナーの悪い絵描きが海にイーゼルを捨てた、とでもいうのでしょうか。

そういえば、「大きすぎるから」というだけで、アルゴ座をバラバラにしたのも、この古代ギリシャの船に羅針盤を載せたのもラカイユですね。どうにも洒落が分からない御仁のようです。

原始惑星系円盤とカプタイン星

がか座βは、原始惑星系円盤、そして原始惑星があることで知られます。この星の周囲には、炭素の多いガスとチリの円盤が回っていて、その中には木星の8倍程度の質量の惑星が発見されています。

この星は誕生してから1000万年程度しかたっていないと考えられていますから、地球のような惑星があったとしても、まだ生命は生まれていないでしょうが、将来はひょっとすると生命が生まれるかもしれません。もっとも、太陽よりも大きい星なので、知的生命が発生するまでに寿命が来てしまいそうです。

もうひとつ、がか座には有名な星、カプタイン星があります。この星は太陽系に近い恒星として知られ、地球から13光年弱、9等級として観測されています。生まれて間もないがか座βと違い、金属が少ないこの星の誕生は100億年前と考えられていて、太陽やがか座βのひとつ前の世代の星です。

天の川に沿って動く太陽やがか座βなどと違って、この星は天の川平面を横切る軌道で天の川銀河を回っており、地球から見ると、固有運動が早いことでも知られています。

恒星データ

Hipparcos
番号
バイ
エル
符号
赤径赤緯固有名
カタログ名
意味アルマゲスト名実視
等級
絶対
等級
スペク
トル
距離
(光年)
32607α
PIC
6h48.2m-61゚56.5'   3.240.83A7IV98.9
27321β
PIC
5h47.3m-51゚ 4.0'   3.852.42A3V62.8
24186 5h11.6m-45゚ 0.3'カプタイン星  8.8610.89M0V12.83

データ出典:
バイエル符号・等級・スペクトル・距離:Hipparcos星表 絶対等級:独自計算 固有名・意味:星座の神話、IAU アルマゲスト名:アルマゲスト

  1. キャプテンクックと南の星 P48