パルディ天球図より、夏の星座 Ignace Gaston Pardies, Wikimedia Commons

夏の星座探し

梅雨も明けて、かっと照りつける太陽が沈んだ夕方に空を見上げると、明るい星の大きな三角が見えてきます。

夏の大三角は、小学校での最初の星の学習、4年生の理科で習いますので、子供たちに大人気です。もっとも、5年生になれば、ほとんど忘れられてしまいますが。

夏の星空<br/>6月20日 24時<br/>7月20日 22時<br/>8月20日 20時

夏の星空
6月20日 24時
7月20日 22時
8月20日 20時

夏の空には、1等星が4つ、大三角と南の空に注目です。

こと

7月下旬になり、梅雨明けした夕方、東の空高いところには夏の大三角が見えています。その三角を作る星の中で、一番明るく輝くのは、「落ちる鷲」という意味のヴェガ。ヴェガの隣に暗い2つの星があり、それとつなぐと鷲が羽をたたんで空から降りてくるように見える、というところからつけられました。

ヴェガを含む小さな三角の一つの星から、こちらも小さな平行四辺形をつなぐと、魚のような形に星が並びます。

ここまで話をすると「うお座!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、残念。ここにあるのはこと座です。

夏の星空<br/>6月20日 24時<br/>7月20日 22時<br/>8月20日 20時

夏の星空
6月20日 24時
7月20日 22時
8月20日 20時

わし

ヴェガから、天の川をはさんで反対の岸に輝くのはアルタイル。その隣に1つづつ星があり、3つ星になっています。この様子を鷲が空を飛んでいる姿に見て、「飛ぶ鷲」という意味。このあたりには、ゼウスが化けてた姿というわしの姿があります。わし座

はくちょう

夏の大三角、残った一つの星は、しっぽという意味のデネブ。デネブという言葉、星の固有名の頻出単語の一つ。覚えておくとよいと思います。デネブから、お腹の星、首の星、くちばしの星と、星が1列に並び、お腹の星から翼の星をつないでいくと、白い大きな鳥、はくちょうの姿が浮かび上がります。

はくちょう座は、きれいな星の並びの星座のひとつ。天の川の見えるような空のきれいなところでは、空高く飛んで行く白鳥が見えるようです。

さそり・いて

さそり・いて

さそり

白鳥は、天の川にそって南に飛んでいきます。その先に見えるのは、赤い1等星アンタレス。「アンチアレス=火星に敵対するもの」という意味。色も明るさも火星に似ているアンタレス。黄道星座で火星が近くを通ることもあり、ライバルの星にされたようです。

アンタレスの周りの星を、「S」の形につないでいくと、有名なさそり座

さそり座も、きれいな星の並びの星座のひとつ。天の川に身体を半分浸しているので明るい星も多く、賑やかな星座です。

いて

星占いの星座続きで、さそりの左側、東側に注目してみます。

都会の空では難しいですが、6つの星が小さなひしゃくを作っているのを見つけることができます。北斗七星に対して南斗六星と呼ばれる星の並びですが、小さい上に暗い星が多く、南の空低くにしか見えないこともあり、北斗七星に比べると今一つ地味です。

南斗六星の柄の2つの星から、ジグザグに星をつないで降りてくると、こちらは西洋の見立てで「弓」の姿。この弓を構えているのがいて座。半人半馬のケンタウルスの姿。

ヘルクレス

ここから先は、空のきれいなところやプラネタリウムで見つけることができる星座を紹介。

夏の大三角でいちばん明るいこと座のヴェガと、春の星座でいちばん明るいうしかい座アルクトゥールスを結んで、その真ん中のあたりを見てみると、星が南北に3つ並んでいるのが見つかります。周りの星を「H」の形につないであげると勇者ヘルクレス。頭の星はラスアルゲティと呼ばれる3等星です。

ヘルクレス・へびつかい

ヘルクレス・へびつかい

ラスアルゲティのすぐ南には、ラスアルハグェと呼ばれる2等星もあります。これを頭に持つのがへびつかい座。デネブの代わりにこの星とヴェガ、アルタイルとつないでも「夏の大三角」のような大きな3角形ができます。時々間違われる「にせ夏の大三角」です。

てんびん

さそり座の右側、西には、3等星が細い三角形に並んでいます。星占いの星座のひとつ、てんびん座。明るい星がないので見つけづらい星座ですが、一度見つけてしまえば比較的探しやすい星並びです。