プロキオン
こいぬ座の尻尾の星。シリウスが昇る目印の星として使われました。
恒星データ
Hipparcos 番号 | バイ エル 符号 | 赤径 | 赤緯 | 固有名 カタログ名 | 意味 | アルマゲスト名 | 実視 等級 | 絶対 等級 | スペク トル | 距離 (光年) |
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37279 | α CMI | 7h39.3m | 5゚13.7' | プロキオン | 犬の前に | プロシオンと呼ばれる後の星 | 0.4 | 2.68 | F5IV-V | 11.4 |
データ出典:
バイエル符号・等級・スペクトル・距離:Hipparcos星表 絶対等級:独自計算 固有名・意味:星座の神話、IAU アルマゲスト名:アルマゲスト
プロキオンは、ギリシャ語で「犬の前に」と言う意味1。古代エジプトでは、ナイル川の氾濫の目印としてシリウスを使っていましたが、当時プロキオンは、シリウスの昇る1時間ほど前に昇っていました。まさに、犬の前、シリウスが昇る目印の星として、名前がついたのでしょう。
プロキオンとシリウス
現在(左)と5000年前(右) 天球の傾きが違います
そのプロキオンとシリウスの昇る間隔、現在では20分ほどしか違いません。昇ってくる時間の40分差は、角度にして10度もの違い。星座を作る星は「恒星」というくらいですから、5000年の間にプロキオンやシリウスがそんなに動いたわけではありません。
動いたのは、星たちではなくて地球の自転軸。地球の歳差運動によって、古代エジプトの時代の北極星はりゅう座のトゥバンでしたが、当然星空全体の向きも現在とは違っていました。シリウスやプロキオン、現在の冬の星座の星たちは、5000年前には『秋』の星座、このあたりの空は今の地平線に比べて立っていて、この2星の昇ってくる時間差は現在よりも大きかったのです。
プロキオン概要
プロキオンと太陽、地球とプロキオンBの大きさ比べ
プロキオンはこいぬ座の星ということで、何かにつけおおいぬ座のシリウスと比べられます。シリウスに比べると当然暗いのですが、それでも絶対等級は2.7等級と、シリウス(1.5等級)よりも1等級強暗いだけです。プロキオンは、シリウスよりも1.5倍ほど地球から遠いので、その分暗く見えます。スペクトル型はF5、表面温度は6530K。
シリウスの質量は太陽の2.12倍、直径は1.75倍なのに対して、プロキオンの質量は太陽の1.4倍、直径は2.1倍、プロキオンのほうが軽いのに、直径は大きくなっています。これは、プロキオンがまもなく赤色巨星に変わる兆候で、あと1000万年から1億年の間には赤色巨星になると考えられています2。
ちなみに、プロキオンの年齢は約17億歳、シリウスは2億5000万歳程度です。
プロキオンもシリウスと同じように、10.3等級の白色矮星の伴星、プロキオンBがあります。シリウスBは、水素が表面を覆う一般的な白色矮星のようですが、プロキオンBは、シリウスBよりも少し大きく、表面はヘリウムがほとんどのようです3。プロキオンAに接近すると9天文単位、遠ざかると21天文単位で、シリウスBよりも主星に近く、プロキオンはシリウスよりも1.5倍、太陽系から離れているので、見るのは大変難しいようです。
おおいぬ座、こいぬ座は、オリオンの猟犬。白色矮星は、首輪についているアクセサリなのでしょうか。