リゲル
オリオンの左足の星。「リゲル」は、「足」という意味。
もちろん巨人オリオンの足。白い輝きのリゲルと、わきの下の星ベテルギウスの赤、色の対比がとてもきれいです。
恒星データ
Hipparcos 番号 | バイ エル 符号 | 赤径 | 赤緯 | 固有名 カタログ名 | 意味 | アルマゲスト名 | 実視 等級 | 絶対 等級 | スペク トル | 距離 (光年) |
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24436 | β ORI | 5h14.5m | - 8゚12.1' | リゲル | 巨人の左足 | 水と共通な左足の端の輝星 | 0.18 | -6.69 | B8Ia | 773 |
データ出典:
バイエル符号・等級・スペクトル・距離:Hipparcos星表 絶対等級:独自計算 固有名・意味:星座の神話、IAU アルマゲスト名:アルマゲスト
オリオン座には明るい星がたくさんあり、その中でもいちばん明るいのがこのリゲル。見た目こそ、隣の星座おおいぬ座のシリウスよりも暗く見えますが、実際にはシリウスよりもはるかに明るい星。シリウスのところに持ってくれば、-10等級というとんでもない明るさになるでしょう。
リゲル概要
リゲルと太陽、水星
リゲルの直径は太陽の70倍、質量は太陽の17倍ほどと考えられていて、白い1等星でははくちょう座のデネブに次いで大きな星です。巨大な星は最後に超新星となるのが一般的ですが、リゲルの場合、恒星風でガスが大量に流れ出していて、数百万年で超新星爆発できなくなり、最後はネオンと酸素で構成された珍しい白色矮星になるだろうとも言われます1。
リゲルには伴星があります。6.8等級のリゲルBは、リゲルから角度の10秒弱離れていて、普通なら望遠鏡で楽に分離できますが、リゲルがとても明るく光度差が7等級もありますから、15cmの望遠鏡で見分けることができるか、というところ。これが見分けられれば、その望遠鏡はシリウスへの挑戦権が得られます。シリウスとシリウスBは、2030年位までリゲルと同じ程度の10秒ほど離れ、光度差が10等級。もし、分離して見ることができれば、白色矮星を直接見たことになるのです。
シリウスBは白色矮星ですが、リゲルBは普通の星、しかも、絶対等級が0等級くらいですから、太陽はもちろん、シリウスAよりも明るい星です。主星が明るすぎるのと距離が遠いので、小さな星という印象になっているのですね。リゲルまでの距離が遠いということは、伴星との間も、とても離れているということ。地球から見て、シリウスもリゲルも伴星は10秒弱離れて見えます。実際の距離はというと、シリウスと伴星とは平均30億kmほどなのに対して、リゲルは3000億kmほども離れていると計算できます。リゲルとリゲルBの間は、光の速さでも12日ほどかかる距離です。
冬の空に明るく輝く2つの星、その正体を比べてみると、そのスケールの違いに驚きます。
- ↩The Brightest Stars P159