名称 | 星座名 | おとめ |
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略号 | Vir | |
学名 | Virgo | |
所有格 | Virginis | |
英語名 | the Maiden | |
設定者 | プトレマイオス | |
概略位置 | 赤径 | 13h20m |
赤緯 | -2° | |
面積 | 1294 | |
季節 | 春 | |
南中 | 6月上旬 | |
星数 | 1等 | 1 |
2等 | 0 | |
3等 | 4 | |
4等 | 11 | |
5等 | 39 | |
6等 | 115 | |
変光星 | 607 | |
データ出典: 星座名・概略位置・星数:天文年鑑2020 名称(星座名を除く):IAU Webサイト |
おとめ座
春の空に横たわる乙女。農業と正義、二役の女神様の姿。
おとめ座は、全天で2番目の広さを持つ星座です。1番はうみへび座、3番はおおぐま座なので、みんな春の星座。ちなみに4番目はくじら座、5番目はヘルクレス座、6番目はエリダヌス座、天の川から離れたところに多い傾向があります。天の川から離れると、見える星の数が少なくなりますから、星座を作るには広い範囲の星をつなぐ必要があるからでしょうか。
おとめ座は星占いの星座のひとつ、現在の秋分点があるところですが、大きいわりに乙女の姿を描くのは難しい。彼女が左手に持つ麦の穂のところにあるのが1等星スピカ。そのまま「麦の穂」という意味。とがったもの、という意味もあるそうで、麦の穂の先はとがっていますし、スパイクシューズのスパイクも、同じ語源だそう。白く輝くスピカ、「しんじゅぼし」という名もあります。乙女の左手に輝く真珠、きれいな名前です。
スピカから、西に向ってθ、γ、η、βとつなぐとおとめの身体。γから、δ、εとつなぐと右腕。その先ζは、乙女が右手に持つ羽ペンです。プラネタリウムでおとめ座の探し方を紹介するときは、スピカから西に星をつないでβまで、途中γからεへと伸ばして、アルファベットの「y」を描くように、とお話していました。
右手に羽ペン、左手に麦の穂を持つこのおとめ、ギリシャ神話では、正義の女神アストレイアと、農業の女神の姿に見ます。大昔は、人も神も地上で平和に暮らしていたのですが、時代が下るにつれて人間に悪い知恵がつき始め、神々は次第に天へ帰っていきます。正義を司る女神アストレイアは最後まで人間に正義を説きますが、人間が互いに憎みあい、親兄弟同士でまで争うになって、ついにあきらめ、天へ戻っていったといいます。
もうひとつは、農業の女神デーメテールとも、その娘ペルセポネとも言われます。デーメテールは農業の女神というよりも「地母神」として見られ、その名前「デーメテール」自体が「Ge(大地)」+「meter(母)」の合成で、作物だけでなく、大地からあらわれるものすべてはこの女神の恵みと考えられていたようです。そのデーメテールには、ペルセポネという娘がありましたが、死者の国の王ハデスにみそめられ、死者の国へと連れ去られてしまいます。デーメテールは娘を探しまわり、地上は冬のように荒れ果ててしまいました。
その様子を見て、ゼウスはハデスを説き、ペルセポネをデーメテールの元へ戻させます。その時、ハデスは石榴の実をペルセポネに与え、死者の国の食物を口にした者は死者の国で暮らさねばならないという掟のとおり、1年のうち4分の1、ペルセポネを死者の国で暮らすようにしました。ペルセポネのいない3ヶ月間が冬、というわけです。
おとめ座にも、美しい二重星があります。γ・ポリマです。白い星が寄り添っている様子が見られるのですが、離角が小さいので、小さい望遠鏡ではなかなか見ることができない星です。
銀河団
おとめ座は、天の川から離れた場所にあります。すぐ北のかみのけ座は、天の川銀河の北極があるところ、天の川の星が少ないので、その外側、遠くの銀河がたくさん見られるところです。右の星図は、メシエカタログの天体だけ記載していますが、それでも乙女の顔の横にたくさんの銀河が集まっているのが分かります。これらの銀河の集まりは、「おとめ座銀河団」と呼ばれ、天の川銀河からは6500万光年ほど、一番近い銀河団です。メシエカタログは、小さな望遠鏡でも見つけることができる天体が多く、これらの銀河団の銀河たちも、空の暗いところであれば、小さめの望遠鏡でも見つけることができます。
恐竜が滅んだ頃に向こうを出た光、ぜひ一度、眺めてみてください。
恒星データ
Hipparcos 番号 | バイ エル 符号 | 赤径 | 赤緯 | 固有名 カタログ名 | 意味 | アルマゲスト名 | 実視 等級 | 絶対 等級 | スペク トル | 距離 (光年) |
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65474 | α VIR | 13h25.2m | -11゚ 9.7' | スピカ | 穀物の穂 | 右手の端にあるスピカと呼ばれる星 | 0.98 | -3.55 | B1V | 262 |
57757 | β VIR | 11h50.7m | 1゚45.9' | サヴィヤヴァ | 犬小屋 | 左で南にある翼の端の星 | 3.59 | 3.40 | F8V | 35.5 |
61941 | γ VIR | 12h41.7m | - 1゚27.0' | ポリマ | 予言と出産のニンフの名 | それ(η)につづく星 | 2.74 | 2.38 | F0V+... | 38.6 |
63090 | δ VIR | 12h55.6m | 3゚23.9' | ミネラウバ | 帯の下にある右脇の星 | 3.39 | -0.57 | M3III | 202 | |
63608 | ε VIR | 13h 2.2m | 10゚57.5' | ビンデミアトリクス | ぶどうをつむ女 | Vendangeuseとよばれるその北星 | 2.85 | 0.37 | G8IIIvar | 102 |
66249 | ζ VIR | 13h34.7m | - 0゚35.8' | ヘゼ | 衣服の下でほぼ右尻に近い星 | 3.38 | 1.62 | A3V | 73.2 | |
60129 | η VIR | 12h19.9m | - 0゚40.0' | ザニアー | (犬小屋の)角 | 左翼にある4星の西星 | 3.89 | -0.53 | A2IV | 250 |
64238 | θ VIR | 13h10.0m | - 5゚32.3' | 4星の東の最後星 | 4.38 | -1.14 | A1V | 415 | ||
69701 | ι VIR | 14h16.0m | - 5゚60.0' | シルマ | 引きずる | 足の前で着物の端にある3星の中央星 | 4.07 | 2.42 | F7V | 69.7 |
69427 | κ VIR | 14h12.9m | -10゚16.4' | 亢 | 28宿の名 | その(ι)南星 | 4.18 | 0.00 | K3III | 223 |
69974 | λ VIR | 14h19.1m | -13゚22.3' | カンバリア | コプト語で「曲がった爪」 | 南の左足の端にある星 | 4.52 | 0.73 | A1V | 187 |
71957 | μ VIR | 14h43.1m | - 5゚39.4' | リジルアルアウワ | 吠える犬の足 | 北の右足の端にある星 | 3.87 | 2.51 | F2III | 60.9 |
57380 | ν VIR | 11h45.9m | 6゚31.8' | 頭の上にある2星の南星 | 4.04 | -0.87 | M0III | 313 | ||
58948 | ο VIR | 12h 5.2m | 8゚44.0' | それ(ξ)につづく額にある2星の北星 | 4.12 | 0.52 | G8III | 171 | ||
68520 | τ VIR | 14h 1.6m | 1゚32.7' | 4.23 | 0.10 | A3V | 218 |
データ出典:
バイエル符号・等級・スペクトル・距離:Hipparcos星表 絶対等級:独自計算 固有名・意味:星座の神話、IAU アルマゲスト名:アルマゲスト