スピカ
春の南の空に見える白い星。日本では、真珠星と呼んでいた地方もあったそうです。スピカの白い輝きは、真珠の名にふさわしい。
恒星データ
Hipparcos 番号 | バイ エル 符号 | 赤径 | 赤緯 | 固有名 カタログ名 | 意味 | アルマゲスト名 | 実視 等級 | 絶対 等級 | スペク トル | 距離 (光年) |
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65474 | α VIR | 13h25.2m | -11゚ 9.7' | スピカ | 穀物の穂 | 右手の端にあるスピカと呼ばれる星 | 0.98 | -3.55 | B1V | 262 |
データ出典:
バイエル符号・等級・スペクトル・距離:Hipparcos星表 絶対等級:独自計算 固有名・意味:星座の神話、IAU アルマゲスト名:アルマゲスト
スピカ概要
スピカと太陽
スピカは、北斗七星から始まる春の大曲線で見つかる1等星のふたつ目。ひとつ目はうしかい座のアルクトゥールス、白いスピカと対照的なオレンジ色をしている星です。
「スピカ」という名前は、「麦の穂」という意味、詳しくは、麦の穂先のとがっている部分だといいます。スパイクシューズの「スパイク」と語源が同じだそう。先のアルクトゥールスは、日本で「むぎぼし」と呼んだ地方があり、東西で春の空の目立つ星に「麦」という名前をつけています。初夏に収穫をする麦という作物が、世界中でとても大切にされていたのが、星の名前からも分かります。
ギリシャ神話でも、このスピカのある星座、おとめ座は、農業の神デーメテールの姿に見られます。麦の刈り入れの終わった夜空に輝くスピカ、収穫をつかさどっているかのようです。
スピカは、太陽の通り道、黄道のすぐ近くにある星ですので、時々月にも隠されます。1等星で月に隠されるのはこのスピカと、しし座のレグルス、さそり座のアンタレス、おうし座のアルデバランだけです。
月には大気がありませんから、星は一瞬にして隠されます。その経過を詳しく観測することで、隠された星のことを詳しく知ることができ、このスピカは、5つの星からなる多重星であることが分かっています。望遠鏡を向けて見ることができるAとBのペアがあり、主星のAがさらに4つの星で構成され、そのうち明るい2つのペアは、それぞれ太陽の8倍、4倍の直径(右図)、1800万kmほど離れて約4日の周期で回りあっています。
スピカは麦の穂、というだけあり、たくさんの星でできているようです。