その7~いろいろな星座を使って北極星を探そう~
前回、前々回に引き続き、星座を使って北極星を探し、方位を調べていきましょう。星座を使った北極星の探し方、他にもいろいろあるのです。
夏の大三角
まず始めは、夏の大三角を使った北極星の探し方。
図1 夏の大三角で北極星
夏の大三角は、こと座のヴェガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブの3つの1等星を結んだ三角形です。このサイトでも、星座の大きさの解説のときに使っています。
夏の大三角は『夏の』というくらいですから、夏の空に見ることができます。こと座のヴェガは織女星、わし座のアルタイルは牽牛星、七夕の星ですから、見つけやすいですね。お盆の20時ころ、頭の真上にきます。大きさは、腕を伸ばした時の手のひらよりも二回りくらい大きめ。図1でも、西から北西くらいまでの大きさがあります。角度では45度くらいです。思ったよりだいぶ大きいです。
夏の大三角はとんがった二等辺三角形をしています。その底辺、ヴェガとデネブを結ぶ短い辺を軸にして、『ぱったん』と三角形をひっくり返してみます。すると、ちょうどアルタイルのあたりに北極星が見つかります。図1では、形がだいぶゆがんでいますが、これは球を平面に描いているためで、実際の空では本当にきれいに重なります。
夏の大三角はもちろん夏の星座で作られていますが、夏から冬にかけては、太陽が沈むのがどんどん早くなっていくので、12月でも夕方日の沈んだあとしばらくは見ることができます。夏から初冬に使える目印というところでしょうか。
ペガスス座
図2 ペガススで北極星
続いては、秋の星座の代表、ペガスス座を目印に北極星を探してみましょう。
ペガスス座の胴のところ、2つの2等星と2つの3等星がゆがんだ台形を作っています。秋の四辺形、ペガススの四辺形、などとも呼ばれます。星はあまり明るくはないのですが、周りに明るい星がないのと、10月から11月の20時ころには頭の真上を通るので、結構目立ちます。
大きさは、それぞれの辺が15度前後。手の分度器では、親指立て拳1つ分くらいです。
ペガスス座を使った北極星の探し方、難しくはないのですが、ちょっと追うのが大変です。 ペガススの四辺形の短い辺を、北の方に伸ばしていきます。伸ばす角度はだいたい60度。手の分度器で6つ分です。伸ばしていく途中にカシオペヤ座を見つけることもできます。カシオペヤ座が見つかれば、その方向で正しいことになります。
プロキオンとカストル
図3 ふたごとこいぬで北極星
最後に冬の空。冬の南の空は明るい星が多く、とてもにぎやかです。その中から、無理やり目印を作ってみます。冬の星座でまず目につくのは、やっぱりオリオン座でしょう。腕を伸ばした手のひらくらいの大きさです。
オリオンの肩のところにある赤い星はベテルギウス、オリオンの三ツ星を結んで、下に伸ばしていくと明るく輝く青白い星、シリウスがあります。ベテルギウスとシリウスと三角形を作るようにもうひとつ明るい星、プロキオンがあります。ベテルギウスとシリウスとプロキオンで作る三角形が冬の大三角。でも、今回は直接関係はありません。
冬の大三角の上、明るい星が2つ仲良く並んでいるのが見つかります。これはふたご座のカストルとポルックス。今紹介した星たちのうち、プロキオンとカストルを使って北極星を探してみましょう。
図4 ふたごとこいぬで北極星 北向き
とは言っても、単純にプロキオンとカストルを結んで伸ばしていくだけです。
プロキオンとカストルの間は25度、手の分度器で、手のひらよりも少し大きめ。その間隔で2つとちょっと北に伸ばしていくと、北極星が見つかります。カストルから伸ばす距離は60度くらいなので、ペガスス座を使った北極星の探し方と同じくらいです。
他にも、オリオン座の足元の星リゲルと、ぎょしゃ座のカペラを結んでそのまま伸ばしても、北極星が見つかります。冬の空は明るい星が多いので、いろいろと北極星を探す方法があるんですね。
まとめ
星座を使った北極星の求め方、いろいろとご紹介しました。他にも北極星を見つけるのに使える星の並びがあると思います。また、北極星でなくとも、方位を知ることができる星の並びもあります。
星座を探すために方位を求める、ということでは、北極星を使った方位の求め方はあまり解決になってはいません。いつ、どこにどういう星座が見えているか知っていなくてはならないからです。
北極星以外の方法、方位磁石などで方位の見当をつけて、北極星らしき星を見つける。その星が本当に北極星か確認するために、今までご紹介した方法を使う、というのが自然な使い方だと思います。
実際の空で北極星の目印を探し、そして北極星を探してみてください。それを通じで、星座の大きさ、空の大きさの感覚がつかめると、星座探しもずっと楽になります。